チャットモンチーの完結
「LAST ALBUM RELEASE IN 2018」とチャットモンチー公式ツイッターアカウントが投稿したのは昨年11月末のこと。そして伝えられた「完結」。3日くらいぼんやりして何にも手につかなかった。2018年元旦、アルバムを出して、武道館でワンマンをやって、地元で主催フェスをやって2018年7月に「完結」だと発表があった。そっか。じゃあ2018年はチャットモンチーのための年になるなぁ。元旦にそう思った。
思い返せば、私が初めてバンドそのものを好きになったのがチャットモンチーだった。当時の私は、ボーカリストにしか興味がなくて、ボーカルがいかに上手にいい歌詞を歌うかでしか評価をしていなかった。ハナノユメやシャングリラを知ってはいたけど、チャットモンチーというバンドを本当に好きになったのは、とび魚のバタフライを聴いた時だった。独特なドラムやベースのリズムで、こんなに曲が鮮やかになるのかと驚いた。バンドって楽しそうだな、バンドって自由なんだな、バンドっていいなぁ!と思わせてくれた。チャットを介してバンドの素晴らしさとライブハウスを知った。
それからチャットが大好きになった。チャットは天才的な3人のバンドマン(ウーマン?)で、天才的な3人の作詞家だった。いつだってチャットモンチーは手の届く範囲の日常を歌う。遠くの世界平和や壮大な愛じゃなく、この土地に生まれたこと、この家族の元に生まれたこと、この街で生きていること、出会いや別れがあること、夢を追い東京にやってきたこと、そして今私はここにいて、私の目の前にはあなたがいる、というような。チャットモンチーの曲には好きな歌詞や好きなメロディが山ほどあるし、それに紐ついた思い出もたくさんある。
私は3人が大好きだった。3人なら無敵だと思っていた。だからこそ、くみこんの脱退は許せなかった。私の大好きな3人のチャットモンチーをくみこんが終わらせた。くみこんは最高なドラマーで最高な作詞家なのに。悲しかった。私の青春も終わったんだな。もういっそ解散しちゃえよって。思ってしまった。
私はチャットモンチーを聴かなくなった。あっこちゃんがドラムに転向したことや、2人でどうにか頑張っていることは知っていたけど、2人のチャットは私の好きなチャットじゃないと思っていた。また、くみこんが別のアーティストに作詞提供しているのを知って、なんでチャットじゃないんだよ。えっちゃんに歌ってほしいよ。なんだそれ。。とか思っていた。
そしてえっちゃんが妊娠して産休・育休に入ることが伝えられる。えっちゃんの子供になれるなんて赤ちゃんが羨ましいなと、…それは羨ましいと思ってしまう困った元ファンだ。そんなえっちゃんの産休中、あっこちゃんが1人でイベントに出演していて、その時着ていた服が「mom」という文字とおなかが大きいえっちゃんのイラストが描かれたTシャツだった。…この人は相変わらず本当にえっちゃんのこと好きだな笑…と思った。チャットモンチーの1番のファンは紛れもなくあっこちゃんで、チャットモンチーのために1番必死になるのはいつだってあっこちゃんで、私はあっこちゃんのベースと歌詞が大好きで、あっこちゃんという人の大ファンだ。大好きなあっこちゃんがこんなに必死に守っているチャットモンチーを見ないように意識している自分がバカらしくなった。そして、初めて2人体制になったチャットの曲を聴いた。
変身するぞ
裏切りのサプライズ踊って
変身するぞ
どうせ嫌いになんてなれないだろ?
「変身」作詞:橋本絵莉子
力が抜けた。笑いながら涙が出た。
えっちゃんには見透かされていたんだね。私はチャットのこと、どうせ嫌いになんてなれない。遠ざかっていても2人を嫌いだったことなんてない。チャットの曲を嫌いになれたことなんてない。
そして何より、くみこんのこと、嫌いになんてなれない。
くみこんは真夜中遊園地のなかで、めまぐるしい日々から「振り落とされぬよう 振り落とされぬよう」と言っていた。もしかしたらくみこんはチャットの日々から振り落とされたのかもしれない。でも、くみこんのそんなところが好きだった。くみこんの書く歌詞はいつも何もない私の毎日を肯定してくれた。普通を忘れない人だった。くみこんの脱退は必然だったのかもなって思った。くみこんがマイペースにやりたいことをやれるなら、脱退もいいことだったんじゃないかな、とようやく思えた。
それから2人でやってるライブ動画を漁った。チカラが入り過ぎてるあっこちゃんのドラム、生粋のギターボーカルえっちゃんがドラムを叩きながら歌う姿、そして何より音楽と真正面で向き合っている2人。とてもいい顔をしていた。
きみは何を感じてる?
大丈夫はもう誰も言わない
だから行くんだろ 行くんだろ
満月に吠えろ 隠したその牙で
満月に吠えろ 悲しみ超えてゆけ
満月に吠えろ この歌をとめるな
「満月に吠えろ」作詞:福岡晃子
最高にロックだった。煽られている。私はチャットモンチーに画面越しに煽られている。笑
私の負けです。2人のチャットも大好きです。
なんで変身ツアー行かなかったのかなぁああああ…。と、そこから音源を揃え、映像作品を買い、怒涛の追い上げをみせる私。(そういうのは本当に得意)
とかいって在宅やってるうちに、あっという間に「共鳴」はリリースされ、男女6人6ヶ所巡りも盛大に行きそびれる。笑
で、10周年の武道館とこなそんフェス2016。
今チャット好きでまじでよかった。まじ危ない。セーフ。チャットのライブに帰ってきて、このライブ見られて本当によかった。。。と、心から思う最高のチャットモンチーがそこにはいました。そんな最高の10周年イヤーを彩ったサポートメンバー男陣・乙女団ともサラリとさよならし、2016年後半からはメカットモンチーとして活動する。機械仕掛けの秘密基地ツアーもとてもよかったな。3人の頃みたいなジリジリとしたバキバキのロックサウンドではないけれど、2人の心意気がとてもロックでやっぱりチャットはいつだってかっこいいんだなと思わせてくれた。
で、次が「完結」。
は?です。
もうずっと。
なぜ?え?チャットって終わるの?
あんなに必死につなぎとめていたのに今終わるの?と。
…本当に調子のいいファンだな。すいません。
そして、完結の発表からあっという間に(何度も武道館ワンマンの抽選に外れた最悪な)半年が過ぎ、2018年6月27日ラストアルバム「誕生」がリリースされる。信じられないくらい良いアルバム。最後まで挑戦をやめない2人らしい最高のアルバムだった。
それからはいろんな記事を読んで、「完結」の経緯を知ろうと必死になった。結果的に「そうか。仕方ないか。」と思えるようになった。
(武道館のチケットは友人のおかげで無事ゲットできました。)
ラストの武道館ワンマンライブと、徳島でのこなそんフェス2018がどれほど良いライブだったかというのは、すでに、そしてこれからもたくさん記事になるだろうし、伝説のライブとして名を残すだろうから割愛するけど、
チャットモンチーは2018年7月22日完結した。
もうチャットモンチーの新譜は出ない。もうどのフェスにもチャットモンチーの名前はない。次はどんなチャットが見られるんだろうとワクワクすることもない。
チャットモンチーが終わった。
どんなに仕方ないと頭で理解しても、
これからの各々の活動を楽しみにしようと前を向いても、
寂しいもんは寂しい。悲しい。
だって好きなんだから。
少し長い曲間のあとえっちゃんがジャーンと弾いたら、次の曲は真夜中遊園地
あっこちゃんがやけに声を張って煽り出したら、次の曲はシャングリラ
ハナノユメではコール&レスポンスを超える域でオーディエンスは歌わなければいけないし、
満月に吠えろではなんかよくわからん踊りをえっちゃんと一緒に踊る。
全部もうない。
最後の置き土産、ラストアルバム「誕生」の最後の3曲は、あっこちゃん、くみこん、えっちゃんがそれぞれ作詞した曲で、その3曲がとても好きで。
ひと目惚れの運命 (裸足の街の)
ふたつめの企み (裸足の街の)
つながって鳴らしていく 未知の旅
女の夢もロックスター
派手に転がるのはごめんさ
酸いも甘いも五線譜になって
風が吹いたメロディー
「裸足の街のロックスター」作詞:福岡晃子
初めてえっちゃんのライブを見たときと、くみこんをメンバーに口説き落としたときのことだよね。「最後と意識すると歌詞が書けなくなった」と言っていたけど、結局チャットモンチーのはじまりを書いたあっこちゃん。本当にあっこちゃんはチャットの人だなと思った。
好きでも嫌いでも 好きさ
会っても会わなくても 忘れない
だめでもだめだめでも 許すよ
どうせ嫌いにはなれない
嫌いで嫌いでも 好きさ
一生会えなくても 忘れない
だめでもだめだめでも 許すよ
それだけ忘れないで
「砂鉄」作詞:高橋久美子
「2人とファンへの餞になるように」と書いたくみこんの歌詞。3人の絆を作品にしてくれて本当に嬉しかった。救われる曲です。
生きていくのよこれからも
36度のぬくもりで
ほら、青い血が見えるでしょ
あなたを抱きしめる命の糸だよ
「びろうど」作詞:橋本絵莉子
母になったえっちゃんは突然深い愛を紡ぐようになった。あたたかくて本当に好きな曲だよ。
3人全員が3人のことを大事に思っているのがすごく伝わる3曲で。
この最高な3曲を聞いて、チャットのいない世界に慣れていくしかないんだろうか。
寂しくて寂しくて仕方がない。
まだまだ私のチャットロスは続きそうだけど、
チャットモンチー、完結おめでとう。
大好きだよ、チャットモンチー。